琉球諸島から西へ、最も近い与那国島から約110㎢に位置する島、台湾。
本土とその周辺諸島で構成されており、総面積は35,980㎢と九州と同程度の大きさです。
おおきな大陸プレートの上に位置するため、昔からの地殻変動でそのちいさな本土は非常に起伏に富み
壮大な自然の景観がつくりだされています。
蒸溜所のある南投市は台湾中部で唯一の内陸都市。
総面積の83%が山や丘に覆われており、山にふる雨は川にそって湖や池に流れます。
蒸溜所の近くにある日月譚は台湾八景に数えられる有名な湖です。
クリスタルのように輝く湖と緑の山々にかこまれて南投蒸溜所はウイスキーを造っています。
南投蒸溜所は4基のポットスチルを保有しています。初溜釜はそれぞれ5,000Lと9,000L、再溜釜は2,000Lと5,000Lです。4基のスチルは容量、大きさ、高さ、ラインアームの傾斜角までが各々異なっており、これは、様々な性質のスピリッツを得るためスコットランドのフォーサイス社に依頼しました。冷却器は亜熱帯気候のため、シェル&チューブ式にくわえポスト-クーリングによる2段階のシステムを設置。2つの初溜釜から得られたローワインは再溜の前にブレンドされます。再溜後ヘッドとテールをとり除いた蒸留液は集められ、アルコール度数平均70%のニュースピリッツが得られます。
蒸溜所内のモルトの輸送には空気輸送システムを採用しています。輸送されたモルトは、4本ローラーのBuhler社製のモルトミルを使用して粉砕され、その後、Huppmann社製のマッシュタンで熱水と混合されます。このときの仕込み水には南投市近くの山脈から湧きでた地下水を使用しています。マッシングでは、麦汁を3回にわけて集めます。一番麦汁と二番麦汁は混合されヒートエクスチャンジャーを通して19度まで冷却されウォッシュバックへと運びます。
ウォッシュバックは木製ではなくステンレス製です。これは台湾の湿度の高い亜熱帯気候により、木製にすると管理が非常に難しくなるためです。このウォッシュバックは発酵に適した温度を保つため、水冷ジャケットで常に20℃〜32℃となるように調整されています。発酵に使用する酵母は数種類ありますが、すべて別々に発酵させ管理しています。60〜72時間の発酵の後、ウォッシュをポットスチルに送ります。
蒸溜により得られたニュースピリッツはオーク樽に封入され、レンガで造られた熟成庫にあるラックで保管されます。
主に使用しているのは、「スペインのホッグスヘッドとバットのシェリー樽」と「アメリカのバーボン樽」です。亜熱帯気候である台湾では、毎年6〜7%のエンジェルズシェアを引き起こします。スコットランドでは平均2%と言われており、単純に比較はできませんが約3倍のスピードで熟成がすすむことになります。
こうして造られた私たちのモルトウイスキーは色は濃いゴールドからレンガ色をしており、香りはマンゴー、ライチ、グリーンバナナや缶詰のパイナップルのようなトロピカルフルーツの香りが豊かです。ボディはミディアムタイプですが、ドライフルーツのような甘い味わい、クリーミーでチョコレートのようなカラメル、ナッティーでスパイシーな樽の味わいが特徴です。